【情報処理安全確保支援士】登録申請の受付開始:通称は「登録セキスペ」?
■はじめに
サイバーセキュリティ分野における初の国家資格、「情報処理安全確保支援士」制度がついに開始されました。10月24日には、初回の登録申請の受付もはじまりました。
すでに公開されていた情報、今回新たに発表された情報それぞれありますが、筆者も一度、ポイントを整理しておこうと思います。
■概要など
まずは概要について、IPAのサイトに掲示されている内容を引用してみます。
サイバー攻撃の急激な増加により、企業などにおけるサイバーセキュリティ対策の重要性が高まる一方、サイバーセキュリティ対策を担う実践的な能力を有する人材は不足しています。そこで、サイバーセキュリティに関する実践的な知識・技能を有する専門人材の育成と確保を目指して、国家資格「情報処理安全確保支援士」制度が創設されました。
「情報処理安全確保支援士(以下、支援士)」はサイバーセキュリティに関する専門的な知識・技能を活用して企業や組織における安全な情報システムの企画・設計・開発・運用を支援し、サイバーセキュリティ対策の調査・分析・評価やその結果に基づく指導・助言を行います。
「支援士登録のメリット」の記載内容についても、同じく引用しておきます。
・国家資格「情報処理安全確保支援士」の資格名称を使用することができます。
・情報セキュリティに関する高度な知識・技能を保有する証になります。
・毎年の講習受講により、情報セキュリティに関する最新知識や実践的な能力を維持できます。
これまでの情報処理資格は、一度合格してしまえば一生ものでしたが、情報処理安全確保支援士は資格を維持するにあたり、定期的に講習を受講する必要があります。
■登録可能となる対象者
まず、登録することができる対象者についてです。
①情報処理安全確保支援士試験の合格者
平成28年度の秋期試験を最後に、高度区分の情報セキュリティスペシャリスト試験が終了し、それに代わる形で、平成29年度春期から「情報処理安全確保支援士」が開始します。これに合格すると、登録可能になります。まあ、これは先般から公表されていたことですね。
②情報処理技術者試験の以下の試験区分の合格者
・情報セキュリティスペシャリスト試験
・テクニカルエンジニア(情報セキュリティ)試験
どうやら、情報セキュリティアドミニストレータ試験の合格者は対象外になったようですね。
もう一つポイントとしては、経過措置期間が設けられ、制度開始から2年間(2016年10月21日~2018年10月20日)の間に限り登録することができるということです。
■登録日について
登録申請の受付は通年・随時ですが、受付期限が設けられています。具体的には次のとおり、年2回となっています。
【上期登録】
申請受付期限:7月31日 →登録日:10月1日
【下期登録】
申請受付期限:1月31日→登録日: 4月1日
初回の登録日は、平成29年の4月になります。したがって、この秋に情報セキュリティスペシャリスト試験に合格した方も、初回登録に間に合うということになりますね。
■資格の維持について
登録してからも、資格を維持するためには、年1回のオンライン講習と3年に1回の集合講習(それぞれ1回あたり6時間)の受講が必要となります。 集合講習ではグループ演習を行い、実際のインシデント事例に基づくディスカッションを行う模様です。
■資格に関する費用
受験料が5,700円というのは、情報処理試験のほかの区分と変わりなしです。
登録にあたり必要な費用として、支援士免許料が9,000円、登録手数料が1万700円となっています。
以降の資格維持に関わる費用は、詳細は未発表ですが、オンライン講習が2万円程度、集合講習が8万~9万円程度ということで、3年間で約15万円になる見込みのようです。
■名称など
法律名は「情報処理安全確保支援士」、
通称名は「登録情報セキュリティスペシャリスト」。略称は「登録セキスペ」と、少し野暮ったいでしょうか?
英語名は「Registered Information Security Specialist」ということで、ロゴマークには、この頭文字を取って「RISS」という英字が記載されています。
■さいごに
ひとまず、今明らかになっているのは、こんなところでしょうか。登録から資格の維持まで、結構な費用が掛かるんだなという印象です。企業にとって、どんな利点があるかがポイントですが、そのあたりの制度設計と整備はまだまだこれからという感じです。筆者も昨年の春に情報セキュリティスペシャリスト試験に合格していますが、自分の会社からどういった通達があるのか…しばらくは様子見といったところですね。