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【2016年度版】情報処理試験 高度区分の試験内容を解説

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■はじめに

平成28年度(2016年度)の情報処理試験の申し込み受付の締切が近づいてきました(個人申込の期限は2月26日(金)です)。今回から新たにスタートする「情報セキュリティマネジメント試験」を受験する方も多いかもしれませんね。

高度区分の試験は従来と同じく、9つに細分化されています。はじめて高度区分の試験に挑戦する方は、どれを受験すべきか一見すると戸惑ってしまうのではないでしょうか。今回は、これらの高度区分の試験内容を解説してみたいと思います。


■実施時期と論述問題の有無による分類

実施時期による分類

情報処理試験は春期(4月)と秋期(10月)の年2回実施されます。情報セキュリティスペシャリストだけは春秋の両方で受験することができますが、それ以外の試験は春か秋のどちらかでしか実施されませんので、受験のチャンスは年1回ということになります。

春期実施の高度区分試験
SC:情報セキュリティスペシャリスト試験
PM:プロジェクトマネージャ試験
DB:データベーススペシャリスト試験
ES:エンベデットシステムスペシャリスト試験
AU:システム監査技術者試験

秋期実施の高度区分試験
SC:情報セキュリティスペシャリスト試験
ST:ITストラテジスト試験
SA:システムアーキテクト試験
NW:ネットワークスペシャリスト試験
SM:ITサービスマネージャ試験



論述問題の有無による分類

また高度区には、午後2で論述問題が出題される試験があります。それらの試験では、論述問題に特化した対策とコツを身に付けることが必要です。

論述問題が出題される高度区分試験
ST:ITストラテジスト試験
PM:プロジェクトマネージャ試験
SA:システムアーキテクト試験
SM:ITサービスマネージャ試験
AU:システム監査技術者試験



これらを踏まえて、次の項からそれぞれの試験の内容を解説していきます。


■ST:ITストラテジスト試験(秋・論)

「経営とITを結びつける戦略家」

経営戦略に基づいてIT戦略を策定し、ITを高度に活用した事業革新、業務改革、及び競争優位を獲得する製品・サービスの創出を企画・推進して、ビジネスを成功に導くCIOやCTO、ITコンサルタントを目指す方に最適です。
IPAサイトより引用)

ITストラテジストは、システムを開発する立場ではなく、システムを使っていかに経営やビジネスに付加価値を産み出すことができるかを考える立場の人材です。具体的には企業の情報システム部門で、システム導入の企画・立案に携わる立場の方が身に付けるべき知識が求められるのがITストラテジスト試験です。もちろん開発側の立場であっても、上流工程に携わるなら有益な内容です。

(近年の受験者データ)

実施年度 受験者数 実受験者数 合格者数 合格率(%)
H27年 6,663 4,487 656 14.6
H26年 6,739 4,466 671 15.0
H25年 7,117 4,810 677 14.1



■PM:プロジェクトマネージャ試験(春・論)

「ITプロジェクトの成功請負人」

プロジェクト全体の意思決定を実行し、品質・コスト・納期に全責任をもち、前提・制約条件の中でプロジェクトを確実に成功に導き、プロジェクトメンバを成長させるマネージャを目指す方に最適です。
IPAサイトより引用)

ひとたびプロジェクトが立ち上がると、そのプロジェクトを成功させるまで舵取りを行うのがプロジェクトマネージャの仕事です。限られた予算と期日の中で、様々なリスクをマネジメントしながらプロジェクトを円滑に運営するための知識と技法が求められます。

(近年の受験者データ)

実施年度 受験者数 実受験者数 合格者数 合格率(%)
H27年 17,360 11,050 1,485 13.4
H26年 17,584 10,927 1,385 12.7
H25年 18,571 11,850 1,485 12.5



■SA:システムアーキテクト試験(秋・論)

「業務とITのグランドデザイナー」

システム開発の上流工程を主導する立場で、豊富な業務知識に基づいて的確な分析を行い、業務ニーズに適した情報システムのグランドデザインを設計し完成に導く、上級エンジニアを目指す方に最適です。
IPAサイトより引用)

システムを開発するにあたり、業務要件を踏まえてシステムの全体図を設計するのがシステムアーキテクトの役割になります。要件を実現するための適切なハードウェア・ソフトウェアを選定し、最適な技術要素を適用して最善のシステムを設計することが求められます。したがって、システムアーキテクトシステム開発に関わる幅広い知識を身に付ける必要があります。

(近年の受験者データ)

実施年度 受験者数 実受験者数 合格者数 合格率(%)
H27年 8,181 5,274 697 13.2
H26年 8,814 5,735 860 15.0
H25年 9,346 6,113 864 14.1



■NW:ネットワークスペシャリスト試験(秋)

「ネットワーク社会を担う花形エンジニア」

ネットワークの固有技術からサービス動向まで幅広く精通し、目的に適合した大規模かつ堅牢なネットワークシステムを構築し運用できるネットワークエンジニアやインフラ系エンジニアを目指す方に最適です。
IPAサイトより引用)

情報システムを構築するインフラとして、ネットワーク技術は必要不可欠なものです。言い換えると、ネットワーク技術者の力がなくしてはシステムを構築することはできないということであり、ネットワークに精通した人材は重宝させるというわけです。インフラを担当する立場の方はもちろん、アプリケーション開発の担当者も、ネットワークの知識を身に付けておくと武器になるでしょう。

(近年の受験者データ)

実施年度 受験者数 実受験者数 合格者数 合格率(%)
H27年 18,990 12,407 1,811 14.6
H26年 20,220 13,215 1,832 13.9
H25年 20,803 13,288 1,899 14.3



■DB:データベーススペシャリスト試験(春)

ビッグデータ時代に求められる、データ志向の担い手」

企業活動を支える膨大なデータ群を管理し、パフォーマンスの高いデータベースシステムを構築して、顧客のビジネスに活用できるデータ分析基盤を提供するデータベース管理者やインフラ系エンジニアを目指す方に最適です。
IPAサイトより引用)

大規模かつ高度化する業務システムでは、データベース設計がシステムの優劣を左右する要因になります。業務要件からデータに着目し、いかに適切なデータベース設計を行うかがデータベーススペシャリストの腕の見せどころです。


(近年の受験者データ)

実施年度 受験者数 実受験者数 合格者数 合格率(%)
H27年 15,355 10,049 1,767 17.6
H26年 15,807 10,016 1,671 16.7
H25年 17,489 11,342 1,845 16.3



■ES:エンベデッドシステムスペシャリスト試験(春)

「組込みシステムの腕利きエンジニア」

自動車、家電、モバイル機器などに搭載する組込みシステムを、ハードウェアとソフトウェアを適切に組み合わせて構築し、求められる機能・性能・品質・セキュリティなどを実現できる組込みエンジニアを目指す方に最適です。
IPAサイトより引用)

上記の紹介文にある通り、組込み系のシステム技術者を対象とした試験です。筆者は組込み系のシステムの経験がないのですが、比較的閉じた枠組みの中でハードウェアとソフトウェアの双方を包括的に設計する技能が求められるイメージがあります。また、外部要因に応じてシステムの状態がどう遷移するかを意識することも必要かもしれません。組込みシステムに特化しているのが特徴的な試験です。

(近年の受験者データ)

実施年度 受験者数 実受験者数 合格者数 合格率(%)
H27年 4,627 3,458 573 16.6
H26年 4,874 3,506 601 17.1
H25年 5,233 3,801 646 17.0



■SC:情報セキュリティスペシャリスト試験(春/秋)

「ITの安全・安心を支えるセキュリティの番人」

情報システムや組織に対する脅威や脆弱性を評価し、技術面・管理面での有効な対策を遂行できるセキュリティエンジニアや情報システム管理者を目指す方に最適です。情報セキュリティの重要性はますます高まっており、いま最も旬なエンジニアです。
IPAサイトより引用)

開発から保守フェーズに至るまで、昨今の情報システムではセキュリティ対策を意識しないわけにはいきません。セキュリティ技術に通じた人材が重宝される時代から、システムに携わる誰もが一定のセキュリティ技術・知識を持っておかなければならない時代になっていくのかもしれませんね。高度区分の中でもこの試験だけは春秋と年2回実施されていますので、まず最初に取得を目指すのも良いと思います。

(近年の受験者データ)

実施年度 受験者数 実受験者数 合格者数 合格率(%)
H27年(秋) 28,274 19,930 3,141 16.6
H27年(春) 27,339 18,052 2,623 14.5
H26年(秋) 27,735 18,460 2,528 13.7



■SM:ITサービスマネージャ試験(秋・論)

「情報システムの安定稼働を約束する仕事人」

顧客ニーズを踏まえ、日々の継続的改善を通じて高品質なITサービスを最適なコストで安定的に提供し、IT投資効果を最大化できるITサービスマネージャを目指す方に最適です。
IPAサイトより引用)

システムが本番を迎えた後、システムの日々の円滑かつ安定な稼働を司るシステム運用部門に必要な知識を求められるのが、ITサービスマネージャ試験です。継続的なシステム資源の監視や、サポートデスクの役割も守備範囲に含みます。
円滑に運用フェーズに入るにあたっては、システム運用の検討・構築などの観点からシステムの開発に参画することも必要です。障害の未然防止に加えて、障害発生時の迅速な影響把握・対応を担う場面もあります。システムの開発とまた異なる運用者の立場にある方にとって有用な知識を得ることができるでしょう。

(近年の受験者データ)

実施年度 受験者数 実受験者数 合格者数 合格率(%)
H27年 5,673 3,858 511 13.2
H26年 5,855 3,925 492 12.5
H25年 6,029 4,037 494 12.2



AU:システム監査技術者試験(春・論)

「独立した立場でITを監査する御意見番」

情報システムを監視し、リスクとコントロールを評価することによって、組織体の情報システムの適切な活用を促進し、ITガバナンス向上やコンプライアンス確保に貢献できる監査人や情報システム責任者などを目指す方に最適です。
IPAサイトより引用)

システム監査人が行う監査内容は、情報システム自体の評価に加えて、経営への貢献度合いの評価や業務プロセスの妥当性・法令遵守状況の確認のほか、開発工程における統制・マネジメント体制のチェックなども含みます。
監査を行う側の立場だけでなく、システム部門にあって外部・内部からの監査に正しく対応する立場にある人材にとっても、そこで必要とされる知識を求められるのが、システム監査技術者試験です。

(近年の受験者データ)

実施年度 受験者数 実受験者数 合格者数 合格率(%)
H27年 4,012 2,740 388 14.2
H26年 4,087 2,733 361 13.2
H25年 4,459 3,053 431 14.1



■結局どの試験を受験すべきか?

ここまでにご覧いただいた通り、高度区分の試験では、それぞれの立場に応じて必要性が高い知識が要求される内容となっています。試験によって合格率の微妙な高低や、論述問題の有無の違いはあります。現時点の知識水準と照らした得手・不得手もあるかもしれません。しかし、合格しやすさよりも、今後のキャリアプランを見据えたときに、自分自身がどのような立場にあり、何をしたいのかを中心に受験する試験を考えてみるのが良いのではないでしょうか。


■さいごに

筆者は次の春期試験は、プロジェクトマネージャ試験に申し込みました。殊勝な記事を書きましたが、論文試験は実ははじめての挑戦です。ほかの試験を受験される方も、良い結果を得ることができますよう、頑張って参りましょう。


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